福島県浪江町の観測値について原子力安全委員会の不可解な被曝線量の計算発表
下のグラフは、文部科学省の公表した3月17日からの浪江町津島付近の3地点測定地を用いたものである。
福島第1及び第2原子力発電所周辺のモニタリングカーを用いた固定測定点における空間線量率の測定結果 :文部科学省
この放射線量変化率から、減少係数を計算し、最高値を示した観測点に対し原発から大気中に放射性物質の放出が始まった3月15日の放射線量を外挿し、積分被曝線量を試算して見た(赤色で表したグラフより)。 計算根拠のデータとして、一日当たりの常用対数減少率を -0.039、15日時点での初期放射線強度を近似線の外挿推定値 165 μSv/hと、最初の測定値(17日)を用いて逆算した推定値 200 μSv/h を用いた総被ばく量の試算結果はそれぞれ 37 mSv と51 mSv となった。 この値は日本の放射線業務従事者の上限に相当する。この地点の空間放射能の平均半減値は7.7日と計算され、沃素131の半減期よりわずかに小さい。短時間の半減期の核種が混じっているものと思われる、この事実や、前のブログに書いた茨木の観測局データの分析などから、過渡的な現時点では見えていない半減期の非常に長い放射線核種も存在すると見られ、長期被曝を予測するには残留核種の分析が必要で、日本政府の云う空間線量観測だけで土壌の分析は必要ないと云う根拠は無い。
発表された他の機関での値を見ると、日本の原子力安全委員会では福島県波江町で3月23日から4月3日までで放射線量の積算値が10.3 mSvとなったと発表した。(朝日新聞4/6)
Map of the Damage From the Japanese Earthquake – NYTimes.com
では地図で示された測定地点をクリックすると表示されるグラフから見て、上記の文部科学省の値を用いているようだが、浪江町津島ではアメリカの放射線核関係労働者の最高被曝量を超える期間を50日と推定している。
上記2例は何れも計算方法が分からないが、ニューヨークタイムスに引用されていた結果と私の値はほぼ同程度の値であると見られる。
一方、朝日新聞記事の原子力安全委員会発表を根拠としていると見られる値は、3月23日から4月3日までの11日間の積算値としているが、観測データが3月17日から公表されているのに、どうして放射線強度の強い期間、3月17日から22日までを除いたのだろう、放射性物質の放出は15日から始まっているのに、新聞記者がそのことに疑問を抱かないのは不可解だ、今回放出された核種の主な成分は半減期8日間ぐらいと云われ、私の計算では最初の1週間で総被ばく量の50%強と推定される。なんとなく10 mSv以上にならないよう故意に逆算した数値であると憶測したくなるがどうだろう。
さらに、変動の大きい測定値を、わざわざ10.3と云った3桁まで表すことは統計学的に意味がなく、自然科学を勉強したことがあるものなら少なくとも小数点以下は無意味であり書かないのが常識である。新聞も、配布されたプレスリリースの数値をコピーするだけではジャーナリスムとは言えないのでは? 読者にとって意味のある情報を報道すべきであろう。
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