警察庁をはじめ自動車交通部局幹部に読んでほしい報告書
“European Commission Road Safety”
[1] Elderly drivers: http://ec.europa.eu/transport/road_safety/users/eldery-drivers/index_en.htm
Older Drivers: http://ec.europa.eu/transport/road_safety/specialist/knowledge/old/index.htm
[2] Assessing the fitness to drive: http://ec.europa.eu/transport/road_safety/specialist/knowledge/old/what_can_be_done_about_it/assessing_the_fitness_to_drive.htm
[3] Education/training: http://ec.europa.eu/transport/road_safety/specialist/knowledge/old/what_can_be_done_about_it/infrastructural_measures.htm
今までにいろいろの研究論文や報告書を示して、高齢者運転が社会に危害を与えていないことを書いてきたが、この基本理念が間違っていなかった記事を見つけた。
[1] では、高齢者は他の交通者に対するリスクは高くないが、自分自身に対する事故当たりの死亡や重傷率はそれぞれ若い世代の5倍、2倍と高い、それは身体的虚弱さのためである。高齢者は医学的な弱点を運転体験で知り、道路の状況や天気のよい昼間運転を選ぶなどして運転障害のリスクを補っている。
項目、Older Drivers はこの報告者の集約である。これをみると多くの要素に配慮した包括的な思慮に基づいたレポートであることが分かる。
[2] では、運転免許制度について言及している。いろいろな免許更新制度に関し、証拠(エビデンス)に基づいた明確な優劣は確認されていない。その証拠として免許制度の違いと道路交通事故率の関係が挙げられている。
それは、免許更新制度の厳格なフィンランドと高齢者を含め終身免許制度のスウェーデンについての事故比較である。
その結果は、フィンランドはスウェーデンに比べて衝突事故の減少が見られない。反対に、フィンランドは事故死者が多い、これはフィンランドでは高齢者が運転免許を更新出来なかったために歩行者が増加したためである。このことはオーストラリアでも同様な結果が出ている、オーストラリアではビクトリア州だけが年齢での免許システムに差別がなく、他の州は高齢者にテストプログラムを課している。
ちなみにIRTAD2009のデータからスウェーデンとフィンランドの事故率を比べてみる、OECD加盟国30カ国中の最も安全な国からの順位で見ると人口十万人当たりの死者数では、スェーデンが4位、フィンランドが11位, 10億台数・kmでは スウェーデンが2位、フィンランドが9位、登録台数十万台当たりの死者は スウェーデンが2位、フィンランドが10位である。
このように、現在では免許更新で運転不適格者を判別する確かな方策は確定していない。
なお、ヨーロッパで終身免許の国は、ベルギー、フランス、ドイツ、スウェーデンである。これらの国の十万人当たりの死者順位は 23, 11, 8, 4位である。ちなみに日本は6位である。その他の免許更新が必要な国でも医学的なデータの自己申告や登録要求であり、日本のように自動車学校のような医学的な公的教育を受けていない組織での審査や訓練強要する違法性の高い制度は見られない。
先進国では、免許更新の条件は医学的な運転適応性の検証が基本である。ただし、一部の国やアメリカの州では簡単なペーパーテストを課す例はある。
これを見ると、日本の運転者は世界のトップクラスを実現しているのに比べ、免許政策は後進国の様相を呈しているように思う。
更に”Education/training”[3] の項目を開くと、交差点のデザインや信号・照明そして高速道路への出入り口などの道路インフラがどのように高齢ドライバーに不適合なのかを細かく議論している。ここでも道路環境整備の改善と不備の責任に目を向けず、高齢者の運転欠陥を思い知らせることだけを安全教育指導と思い込んでいる日本の道路行政関係者との認識の乖離が見られる。