ゴールド免許は警察庁からのご褒美か
日本のように、5年間で2回またはそれ以上の責任事故を起こす運転者の確率が0.4%以下の先進国では、大多数の正常な運転者に対する実態の把握が重要と思う。
その意味で、正常運転者の評価という観点から、科学警察研究所交通安全研究室[1]の論文データを用い、主力責任事故を起こさなかった運転者グループに対する以下のような試算をしてみた。その結果は、40年あまり運転してきた運転者としての実感としてはそれほど間違っていないように思った。
事故回数歴と違反回数歴の違いによる運転者の安全評価の等価判断の一つとして上図を例に考えてみた。
グラフからおおざっぱに見えてくることは、運転者の安全度評価は、事故回数歴1回に対し、違反回数歴3~4回が同確率であることが分かる(細線の交点または冪指数の比-2.7/-0.75=3.6)。
無事故で違反3回までの運転者数と、それより記録の悪い運転者比を見てみると88%対11%となった。それに対し現在の評価基準である無事故無違反での運転者数の比は54%対45%となる。
運転経歴による差別は、免許更新手続きの便宜や、保険料率への影響など、現実として運転者の損益に関係しており、運転者の評価という社会的公平さの見地での基準を考える場合、運転者全体の85%程度を正常運転者と見るべきであるという基準もあろうかと思う。(85パーセンタイル基準)。
現在、欧米先進国では、正常運転者に対してはインターネットや郵送など免許更新の簡素化が実施されているところが多い。日本も統計的には自動車運転に関する事故発生率は世界で最も少ない成熟した国の水準に達していることから[2]、運転免許更新手続きにかかわる社会的損失(運転者の免許更新毎の休業、行政経費等)も考慮に入れることが行政サービスとして重要な時代に来ていると思っている。その意味で、正常運転者が遭遇する責任の軽い事故や違反の実態についての科学的分析を行い、免許保持者の85%程度を正常な運転者と評価出来る明確な基準を求めることが必要である。
しばしば取り締まり当局が陥る、1%にも満たない運転経歴の悪い統計的に異質な運転者の事故や違反状態を例にして、大多数の正常な運転者に言及するのは明らかに誤りである。
[1] 4th IRTAD Conference, Yasushi Nishida 2009.
http://www.internationaltransportforum.org/irtad/pdf/seoul/3-Nishida.pdf
[2] IRTAD Annual Report 2009. pp.14,15.
http://internationaltransportforum.org/irtad/pdf/09IrtadReport.pdf
