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運転者の安全性の評価と事故歴・違反歴との関係

2010/01/31

科学警察研究所:交通科学部 西田 さんのソウルで行われたフォーラムの発表論文を見て。
Road Traffic Accident Involvement Rate by Accident and
Violation Records: Yasushi Nishida
http://www.internationaltransportforum.org/irtad/pdf/seoul/3-Nishida.pdf

この論文は、2007年度に運転事故の第一当事者になった全員について、2002年から2006年までの5年間の事故・違反歴との関係について分析したものである。

この論文に記載されているデータベース Table 2, A,Bを参照して、他の側面から分析をしてみた。

安全な運転者に着目し、運転者の安全性の統計的性質を見るために、Table 2,Aを変更して第一当事者にならなかった運転者数を算出し分析してみた。

交通の安全性を評価する時に、運転者個人の運転能力に着目するのと、統計的にあるグループが交通社会全体にどのような割合でかかわっているかを見るのとで区別する必要がある。たとえば軽度の知覚障害や身体障害のある運転者は、個人的に評価すれば一般の運転者より危険性が高いと見られるが、実際の交通社会全体からの統計分析では、これらの運転者は、むしろ安全なグループに属することが多い。それは、これらの運転者の運転距離や人数の割合が少ないためである。

そのような意味で、ここでは、2007年度に第一当事者にならなかった、安全性が高いと見られる運転者の全運転者に対する割合を調べてみた。

運転歴と安全率

これで見ると、事故歴と違反歴からみた運転者の将来の安全評価は同等ではなく、事故歴の方に重みがあることが分かる。

直近5年間に無事故で過ごした運転者が、次年度に第一当事者として事故に遭遇しない確率は93%であるが、その中で、無違反は54%程度、約40%が違反記録を持つ。それに対し、事故歴を持つ運転者は、無違反であっても無事故歴グループで違反数5回以上のグループより更に安全性が低い、このように、事故歴と違反歴は運転者の安全性の評価で同列ではない。無事故であっても、違反記録のために、免許更新時の手続き簡略化や、保険料率の優遇などから外され、経済的なペナルティーが科せられている。多くの無事故運転者が感ずる、違反を摘発をされた場合の不満の原因の一つであろう。

他の問題として、違反と事故との関係においての関連が明確でない、たとえば、駐車違反と事故との関連性についてみると、駐車違反が原因でその車に追突したり、駐車違反車の陰から突然現れた歩行者が他の車から傷害を受けた場合、違反駐車をした運転者は事故当事者として記録されるだろうか? 日本では、駐車違反は事故にかかわる犯罪というより、道路交通障害の排除としての摘発の要素が強い。また、事故を伴なわない速度違反はいわば抜き取り検査のようなものでその補足率は低いが、一般に実勢速度より規制速度が低く設定されているので、厳しく摘発すれば違反者は非常に多くなる[1][2]。一方、事故に関与した運転者は事故原因としての違反を厳しく追求される傾向はないか? すなわち、事故を伴わないで摘発された違反と、事故の原因(責任)とされて摘発された違反とは性格が異なることである。この要因を明確に分離したデータがなければ、この主の統計分析は意味がないともいえる。

無事故歴の運転者を優遇するのは根拠があるとみられるが、その中で違反経験者を切り離して除外するのは根拠薄弱であり、特に職業的に頻繁に運転している運転者には酷であると云えるのではなかろうか。

[1]  85th Percentile Speed 警察庁もやっと現行の法定速度設定の不合理を放置し続けられないと思い始めたようだ。

http://space-glow.spaces.live.com/default.aspx?_c01_BlogPart=blogentry&_c=BlogPart&handle=cns!A841E9CE14183CB0!156610

[2] 85th Percentile速度、実勢平均速度と法定速度との関係

http://space-glow.spaces.live.com/default.aspx?_c01_BlogPart=blogentry&_c=BlogPart&handle=cns!A841E9CE14183CB0!156611

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