日本の交通安全法規の根拠と国際安全分析報告との乖離
国際的な道路交通安全のデータと分析レポート OECD IRTAD Annual Report 2009 の主な加盟国の報告を見てみた。
http://internationaltransportforum.org/irtad/pdf/09IrtadReport.pdf
これは、加盟各国の報告をほぼ同一のフォーマットに纏めて比較しやすくした報告書である。分かりやすくするために、項目 Recent safety measures(2007-2009) 以下の記載のみについて比較してみた。
結論から先に書こう。日本の報告だけが、改定罰則規定だけの内容、その上、20年前ならいざ知らず、間違った思い込みで、高齢者や聴力弱者を差別するような乱暴な規制はどの先進国にも見られない。このような報告を恥ずかしいとも思わないで書いているのは、このフォーラムの趣旨を全く理解していないか、読んでもいない者としか思えない。こんなに程度の低い組織に我々の生活が規制されていると思うと情けなくなる。
以下に、主要な自動車交通先進国についての記載事項の項目を拾って比較してみた。
日本: 道路使用者の行動と法執行: 厳格な駐車規則を強化する。75歳以上の免許更新時に視力と聴力の検査を義務付ける。
免許規則: 75歳以上と、聴力弱者の運転する車に特殊なステッカーを表示させる、実行しなければ罰金4,000円を科す。
教育: 歩行者に光反射性の衣服の着用を促進させる。
基本的道路設備: LEDによる信号灯を住宅地に設置する、ストップサインの増強。
主要な研究成果: 記載無
参考文献、有効なウエブサイト: 記載無
備考: もし日本語の報告書は国際的に意味がないとの言い訳があるかもしれないが、ドイツ語、フランス語、スペイン語の文献は堂々と文献として記載されていることを付け加えたい。
イギリス: 道路使用者の行動と法執行: 安全研究の結果に基づいた若者ドライバーの教育、
薬物運転の検挙強化のキャンンペーンを始めた。飲酒運転の防止に関する研究。
交通弱者: 子供と両親に対する安全教育、子供の歩行訓練に対する全国ネットワークの実験プロジェクト。
ドライバー・ライダーの振る舞い: 13 タイトルの報告。
道路工学と速度規制: 3 タイトル
統計分析、事故原因、政策の監視: 11 タイトル
運転適性の医学的見解: 1 タイトル
参照文献、有効なウェブサイト: 36 タイトル
アメリカ: 道路使用者の行動: 飲酒運転、薬物運転に関して2タイトル、携帯電話、電子機器の使用に関する制限に関する検討。
安全法規: 4 タイトル、安全研究 2 タイトルの報告。
交通政策の国際調和: 1998年の合意による各種安全方策の実行に関する説明。
基本的道路設備: 5 タイトル
安全教育、訓練: 学童の歩行、自転車通学に関する問題、若者ドライバー対策。
進行中の研究: 4 タイトル
参考文献、有効なウェブサイト: 4 タイトル
ドイツ: 道路使用者の行動:安全技術を使った最も安全な高速道路を実現している。計画の導入の進行と更に推薦すべき事項、7 タイトルの報告。
自動車の安全設備: 横滑り防止機構(ESP)や、車速/車間距離制御機構(ACC)などの車への設置による安全性の向上。
参考文献: 4 タイトル
フランス: 道路使用者の行動と法執行: 飲酒運転対策、スピードカメラの設置
主な研究成果: 2 タイトルの報告。
参考文献・ウェブサイト: 3 タイトル。
スウェーデン: 基本的道路設備: ワイヤータイプの中央分離方式で実験したところ死亡・重傷事故が75-80%に減少した。スピード制限の研究。
道路使用者の行動と法執行: スピードカメラの設置。
主要な研究成果: スピード制御システムの検討 3 タイトル、 その他 2 タイトルの報告。
参考文献・有効なウェブサイト 3 タイトル
スペイン: 社会制度: スピードカメラの設置、飲酒運転、スピード違反、無免許運転の罰則強化、其の他 7項目
主な研究成果: 3 タイトルの報告。
参考文献・ウェブサイト 4 タイトル。
カナダ: 道路使用者の行動と法執行: 飲酒・薬物運転、 冬季運転に関する注意等 3 タイトルの報告。
基本道路設備: 2 タイトル
主要研究成果: 横滑り防止機構(ESC)の必要性
参考文献・ウェブサイト: 2 タイトル
オーストラリア: 道路使用者の行動と法執行: 飲酒、薬物運転の道端での検査。
自動車の安全設備: 横滑り防止機構(ESC)を全ての新車に設置、 歩行者保護装置の標準化、子供の保護シートの法制化。
主要な研究成果: 6 タイトルの報告。
参考文献・ウエブサイト: 2 タイトル。
以上のように日本を除くすべての国の報告書では、簡単ながらも、各種安全対策の成果や計画について、データや研究の状況が参照できるように報告書のタイトルばかりでなく、各項目の趣旨の要約や、インターネットのURLが記載され、報告の全文が参照できるものも多い。
日本にも公益法人などの税金で維持されている交通安全の研究機関があるが、これらの機関は所内報告があるだけで、国際的な検証に耐え、他の機関で参照されているような報告書や、論文を見たことがない。このような公益法人や、補助金で賄われている利益集団は税金の無駄遣いばかりでなく、根拠のない独断で、我々の生活に介入する権利をもっているので始末に負えないというのが実感である。云い過ぎだろうか?
先進各国の現在の主要対象は、合理的な証拠に基づく若者の運転者初心者教育対策と、飲酒、麻薬運転の撲滅であることがうかがわれる。
最初に私の意見を書いてしまったので、この記載は欧米崇拝の偏見に基づいているとの誤解を受けるかもしれないが、IRTAD2009の報告をご覧になった方のご指摘やご批判をいただきたいと思います。