警察庁の「高齢者支援のための重点施策」に対する意見募集結果の報告を見て
2009年1月18日にブログに書いた内容で警察庁に送った表記のマイオピニオンに関する報告書を読んでの感想。
「高齢者支援のための重点施策(案)」の内容以外の意見については、今後の参考とします。と云うことで、重点策の技術的問題のみの回答に限定していることから、以下のような根本的な疑問を除外しているようだ。
(1)この施策案の根拠となっている、間違った認識 ”高齢者運転の事故率が際立って高く社会に危害を与えている” については見解がない。
(2)人権問題として重大な疑念のある ”75歳以上の高齢者は、公道上で年齢を公示しなければ有罪にする” このような憲法上の理念にもかかわる意見も除外している。
ただ、強大な権力組織である警察庁が、一度言い出したことを事実上「撤回する勇気」は称えるべきであろう。
以下この報告書で違和感を感じた点について書く。
意見の総数 56件(内 電子メール 53件、FAX 1件 郵送 2件) 本当に意見を聴取したいのであれば、これほど少数の意見しか帰ってこないことの原因の分析をし、多くの意見が集まるよう広報などで周知を図ることも必要であろう。
報告書の警察庁の考え方の内容では、
高齢者運転への決め細かな対応について、「年齢で一律に運転トレーニングを強制することについて」は不合理であるとの反省が見られるが、そのかわり、6月から始めようとしている「認知機能検査制度」、一種の医学的検査である検査官の教育制度と資格、個人情報の守秘義務について法的に制度が整っているのかが不明であり、このような医学的調査を医師でない自動車学校職員が有料でやるとすれば論外と思うがこのような認識はあるのだろうか。先進諸国では医師が診断することになっている。
高齢者駐車区間制度について、これを利用するのになぜ官憲の証明書を必要とするのか、高齢者に限らず医院での診療や、身体不自由者、乳幼児を連れている人等を含め、必要とする人の常識的な判断に任せられないのか。
「高齢運転表示車に対する運転妨害の罰則強化はこれから検討する」とあるが、高齢者保護を目的とするならばこちらの法改正ががが先でなければ論理が通らない。
「高齢者運転標識の様式の検討について」。 こんなくだらないことを決めるのに税金を浪費しなくても、保護を受けようとする人が常識的な方法で表示すればよいのではないか。
交通安全施設の整備について、「自転車や、歩行の危険性について言及していないのは高齢者支援と関係ないので盛り込んでいなかったが、警察では道路管理者と連携して推進する」との文面があるが。いまさらこんな言及は、高齢者の道路交通で最も死傷率の高いのは歩行者であるという統計的事実を知らなかったからであろうか。
終わりに、環境整備についての項で、試案にはなかった「PTPS」 と云う語が突然説明なしに出ているが何のことであろか。PTPS; Public Transportation Priority System のことであろか。人口の20%もの高齢者を、安全で有効な交通手段である自動車運転から除外し生活権を奪うことが「Public Priority」と云いたいのだろうか。
試案の根拠となる、高齢者運転事故の統計的把握の間違いについて公的資料を示して提出した意見に対しては無視されどこにも触れていないのに反し、「努力義務になれば、高齢者標識の製造業者や小売業者としては、おおくの在庫を抱えることとなり、経営負担を強いられることとなる」本当にこんな意見があったとしても、高齢者支援の趣旨に無関係なこんなくだらない意見こそ無視すべきで、わざわざ報告書に入れるのはどんな意味があるのだろうか。こんな見識のないいい加減な報告書が警察庁の文書として公表されていることを警察庁の幹部は知っているのだろうか。以下の文章も疑わしい。
重要で明解な以下の文章
「・・・・高齢運転者標識の表示義務の在り方について改めて判断することになり、仮に将来、再び表示義務の在り方について見直しする場合には、国会での審議を得て法改正をおこなうことになります」は警察庁の公式見解として理解してよいだろうか確認したい。
ここで、1月18日に私が警察庁のマイオピニオンに応募したメールの結論の部分を再掲して見る。
9.結論
● 科学的根拠に基づいて高齢者の交通の安全性と必要性を把握し、先進国として知性と品位のある交通行政への転換が望まれる。
● 75歳以上の運転者の車にマークを表示しなければ有罪にすると云う、根拠のない理由で制定された人権違反の法規を取り下げことになったのは当然の処置であり喜ばしい。
● 日本や、欧米の先進国において、どの統計的分析結果においても、高齢者運転が、他の年齢層に比べて極端に事故や違反が多い結果にはなっていない。
● 高齢者の運転を生涯出来るだけ長くサポートするという社会的理念を定着させることが重要であるがまだ十分ではない。
● 高齢者にとって安全な車の開発と、道路のインフラの研究と改善が必要である。
● 一般の運転者に高齢運転者の特性を認識させる教育が必要である。
● 機能障害により運転に危険性が生じたとき誰がその事実を知らせ、運転を止めさせるよう説得するかの研究と社会的合意が必要である。
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規制が大好きな警察庁、上記の意見の中, ”●一般の運転者に高齢運転者の特性を認識させる教育が必要である” だけは取り上げてくれた。
報告書であれば、寄せられた意見内容の分布の客観的な分析表を載せるべきであり、都合のよい部分だけを勝手に拾い上げて利用したと思われても仕方がないような構成はどうかと思う。