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伊藤清 博士がお亡くなりになった記事に接して

2008/11/15

伊藤の公式で有名で、数学や理論物理学ばかりではなく、科学技術の応用や、金融工学など、社会現象の予測利理論の基礎をなす確率微分方程式を完成させた数学者である。後にマイロン・ショールズ等により完成した、ノーベル経済学賞の評価の基となった金融工学のブラックショールズ方程式はこの伊藤の理論が基礎となっている。おりしも世界を巻き込んだ金融危機の真っただ中の今、亡くなったこととは何の関連もないことだが何らかの思いを禁じえないことも確かである。

と云うのも、現在進行している経済危機が、アメリカで発達したデリバティブを利用した投資会社にその端を発していると云う人が多い、事実、ノーベル経済学賞を受けたマートンとショールズが経営陣であった投資会社LTCM(Long Term Capital Maneagement)1998年に破堤し倒産したことも思い出さざるを得ない。倒産の引き金はロシアの経済危機と云う数学では予測できなかった事件が原因になったようだ。1970年代アメリカで物理学や統計学の学位を持った人たちがウォール街に入り金融工学を発展させたが、この科学的な手法が悪いのではなく、膨大な資金を動かす決定権を持つ最高経営者が本当の意味の予測の理論を知らないことによる誤りのように思う。

ここで予測と云うことについて考えてみよう。自然科学の予測とは、知られている法則に基づき、過去に起きた事実と現在得られる最大限のデータにより統計処理をして、信頼の度合いを数値で評価しながら予測するものである。100%信頼できる予測は先ず不可能だし、数学的に予測不可能として知られている物事もある。科学技術とは適切な予測の技術ともいえる。どんな場合でも、自然科学では過去の間違いによる失敗や事故を知らないで再び同様の誤りを繰り返すことは許されない。

おりしも今、ワシントンDCで世界二十ヶ国の経済サミットが行われているが、現在の政治や社会現象を見ると、過去に起こした誤りを繰り返し、だれも責任を取らなくても当たり前のように見える。現在の社会では、社会の指導者層には、複雑で変化の激しい国際情勢の中で、適切な予測に基づく決定を迅速に行うことが必要であり、個人の能力を超える場合が多く、科学的な能力を持った人材の組織によるバックアップが不可欠であるように思う。

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