かたくなに速度制限を守る日本郵便の配送トラックと、スピードオーバーを前提とした道交法の制限速度。
非分離、対向車線方式の自動車専用道路で遭遇した話。制限速度70km/hに設定していると思われる日本郵便トラックを先頭に長蛇の列に巻き込まれた。法治国家だから法律を守る「いい子」になっているつもりだろうが、はたして、事故の発生確率や、道路の利用効率から考えて自動車専用道路で法定速度70km/hが合理的に決められたものであろうか考えてみたい。
自動車交通に絶対安全と云う事はあり得ない、自動車交通の基本は短時間で移動できることであり、その代償として事故による災難を覚悟しなければならないと云うことである。一方、道路を作り管理するには高額の社会投資が必要であり、道路の効率的な利用も考えなくてはならない。法定速度を決めるのは、このような総合的作業であり、科学的分析により最適点を見出し利用者が合意できるものでなければならない。
歩行者、自転車、交差点などのある一般道路の法定速度が60km/hに対し、車専用として運用している法定速度が70km/hと云うのはどんな根拠から定められているのであろうか。また自動車交通先進国の外国の例を出さざるを得ないが、日本に道路状況の近いヨーロッパでは、対面交通の一般道路でも郊外に出れば80km/hあるいは90km/hである。自動車専用道路ならば110km/hが普通である。
現在、ヨーロッパ各国では市街地やその近傍では、スピードカメラが多数設置されていて、スピード違反の車を自動撮影し、車のライセンスプレートを解読して車の所有者に罰金の請求書が送られてくる。大体10km/h以上の速度超過で反則とされるようだ。レンターカーの外国人でも免許証住所に送ってくる。
日本の場合、法定速度は実勢速度より低く設定され、違反を問われるのは、法定速度の20km/h~30km/h以上のようだ。言い換えれば、法定速度から20km/h増しまでの範囲で速度違反を認めていると云うことである。このように違反を黙認することで現実の道路交通機能が維持されている現状だが、一旦違反を摘発されれば実勢速度ではなく法定速度からの超過により法外な罰金が来る。またこのような状況で事故が起きた場合、すべて運転者に速度超過の罪状が付くと云うことである。
こう云うと、おそらく日本人の交通マナーは悪いから法定速度を実勢速度に上げるとそれを超過するものが増えて危険だと云う声が聞こえるだろう。そう云う意見の人に、どんな根拠で日本人の交通マナーが悪いと云うのか聞いてみたい。欧米で現地人と同じ状況で生活した実体験をもつての判断だろうか。私は定年してからだけでも、欧米各国で 2万キロ以上運転を経験しているが、それらの国と比べて特に日本人が運転マナーが悪いとの実感はない。合理的で納得できる法定速度が設定されていれば大部分の人はあえて速度違反はしないですむ。実勢速度が法定速度より早いことを知りながら、法定速度の見直しをしないで運転者のマナーが悪いとはあまりにも非常識な話である。