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医療費効率化のためにあえて困難と社会的リスクに挑むQMASの試み

2008/06/21

イギリスとアメリカで医療費の効率的支払制度の試みが実行されていることを日経メディカルオンラインの記事「第18回欧州高血圧学会&第22回国債高血圧学会」2008.6.17 で知った。いずれも医療の質を評価して一定レベルを達成しているクリニックや病院、薬剤師を評価し、診療報酬をアップさせ医療の質の向上を図ろうとするものである。その実例としてロンドンKings College 病院の薬剤師の発表「薬局で降圧薬を処方したら降圧成功率がアップ」(小田修司:日経メディカル)の要約を見た。高血圧治療には、薬理作用の異なる多様な薬剤があるが、トレーニングを受けた薬剤師はほとんどの主要な薬剤の処方が可能と云う。結果はQOF(後述)の設定目標の達成率に成果が出たと云うものである。

イギリスでは、QMAS(Quality Management and Analysis System)という国レベルの ITシステムによって、一般開業医やPCTs(Primary Care Trusts)機関が患者に提供する医療の質を評価するQOF(Quality of  Outcomes Framework)というプログラムが2004年より稼働している。その内容は、イギリスの関連する2,3の資料を見たが専門的でよくわからない。

アメリカではP4P(Pay for Performance)と呼ばれ、医療機関が高質で効率的な医療サービスを提供した場合、高い診療報酬を払い、医療の質の向上と医療費の効率活用を目的としている連邦政府の公的保険プログラムである。

これらのシステムは最近、オーストラリアを含む欧米先進諸国で導入されつつあると云われている。これは、あくまでも医療の質を下げない医療費抑制の国家政策である。医療の質、効率の測定には、臨床指標、患者満足度、IT化率、などを指標化しそのレベル達成率により、格付けや、支払い額を決めることとなる。ただ実際には、医療機関がリスクの大きい患者を扱わないなどの弊害を防ぐためのリスク因子の調整方法などの開発や、評価基準を設定するデーターベースの構築、医療機関が嫌う透明性の問題などについて困難な課題がある。

わが国では、社会的批判の嵐の中で、障害者や75歳以上の高齢者の医療レベルを制御するシステムに協力する開業医に報奨金を出したり、長期入院患者を引き受ける病院の医療報酬を下げるなど、医療水準を低下させ医療費を抑制する官僚的発想を法制化する政府、とても先進国とは言えない。年齢や入院日数などで機械的に区分することが公平であり、だれも責任を取らなくても済む、と信じて疑わない子供じみた判断力の官僚と、医療機関の管理者の「みんな同一水準の医療制度の方が居心地が良い」という医療システムに医学会からの発言が無いのが不思議である。

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