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信号と交通規則の無い、歩行者、自転車、乗用車、トラック等の共有道路交通システムの実験: Shared Space

2008/05/16

これぞ奇想天外とも云える発想の転換、繁華街の道路から交通信号ばかりか歩道をはじめすべての交通区分を撤廃し、交通の安全性を高める実験が行われ実績を上げていると云うニュース[5]。また、EUの実験的プロジェクトとして、ヨーロッパ数カ国の市街地でこの交通システムの実験が行われていることを知った。[1]

欧米の先進各国は1960年代本格的な自動車交通の時代に入り、以来40年あまり、都市交通を、人、自転車、乗用車、町を通り抜けるトラックなどを分離し、道路標識や交通規制を強化することで安全を図ることに努力してきたが、分析の結果期待したような効果が出なかった。オランダの交通技術者ハンス モンデルマンは、それまでの道路標識や、細かい交通規則を捨てて、すべての交通機関を Shared Space (共有空間)に混在させることを提唱した(1980年代)。実際にこの考えで地方の小規模な町の整備が行われ、効果のあることがEU社会で次第に認知されるようになり、EUでは新しい政策プロジェクトとして、この交通法式をイギリス、ドイツ、オランダ、スウェーデンの都市で実証実験を始めた。またアメリカ、オーストラリアの1都市でも実用試験が始まった。

信号灯を取り外すためには、交差点をラウンドアバウト(Roundabout)方式に変更しなければならないが、もともとイギリスをはじめ多くのヨーロッパ諸国ではこの方式の交差点が主流であるのでそれほど無理はない。一方通行や、歩道と車道の段差も無くし必要な個所では色分けで歩道の表示をするが車も通ることが出来るようにする。センターラインや、走行区分線も無くする。舗装は平坦なアスファルトではなく敷石のような凸凹のある方式にする、いわば市街道路全体がスクランブル交差点のようなものである。こうすることで、車も、人も、自転車もすべて対等の立場で互いに相手を見つめて(eye contact)交通することを原則とするのである。正しい交通規則はただ二つ、”the right-before-left priority at junctions” と、ここが Shered Space が適用されている市街道路だと云う事を確実に認識することだけである。詳しい解説と実例は阿部成治氏、(徳島大学人間発達文化学類・住居学研究室)[3]で見ることが出来る。また、実例については、ドイツのボームテ (Bohmte, Germany)[2][3][4][5] とイギリスのチャネル4ビデオニュース[6]で見ることができる。

[1]   http://en.wikipedia.org/wiki/Shared_space

[2]   http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=18217318

[3]   http://www2.educ.fukushima-u.ac.jp/~abej/deut/qaf_b1.htm

[4]   http://www.ananova.com/news/story/sm_2200098.html?menu

[5]   http://www.channel4.com/news/articles/uk/on+the+road+together/389547

[6]   http://www.channel4.com/player/v2/player.jsp?showId=5677

このような、自動車先進国の交通安全に対する積極的な取り組みと比較して、日本の場合、中央集権の強大な権力を背景にして道交法改正の度に罰則と規制が強化されるだけで、その結果が統計的分析によって安全に効果があったかどうかの検証もなく、まして、地方の小さな町が主体となって交通安全システムの実験をするような自由は許されていない。このことについても、残念ながら交通行政の文化的(科学的)水準は欧米の40年前と変わりないと言わざるを得ない。

冒頭で奇想天外と書いたが、日本やアメリカの交通習慣から見るとそうだが、ヨーロッパの旧市街では、石畳の道に通行区分の白線もなく、馬車時代に作られたと思われるラウンドアバウト、走行中の車の両側をバイクがすり抜けて行く、隙間ない路上駐車、一見無法地帯と見られる交通習慣だがそこで運転に慣れてみるとそれなりに合理性があることが実感で出来た。日本の道路行政に携わる高級官僚には、海外の視察旅行ではなく、海外のいろんな環境で目的をもって生活するような留学研修を行って、省庁の中だけの倫理ではなく、国際水準で物事を考えられるレベルに達してほしい。

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