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昼間点灯走行社会実験 広島市の場合

2007/02/27
広島市の広報に表題のアンケート実験の結果が報告されていた.。
実験は、バス、タクシー、市民モニター、市職員、公用車、それぞれ対象人数、254,464,106,101,208名規模のもので、ほぼ同数の点灯、非点灯グループに分けた結果の分析についてのものである。
調査項目は、危険度ばかりでなく、燃料消費量の増加、ヘッドライト、バッテリーなどの消耗経費など、ほぼヨーロッパで行われている調査項目を網羅している。
これは、調査に協力した人々の個人的経験のアンケート結果報告と見るべきで、行政が今後の点灯走行を検討する資料としては意味があるものと思う。
ただし、このような少数のモニターでは、実際に起こった事故件数は少なすぎて ”まれに起こった” 事象と見るべきで、点灯実験による、事故率の増減の判断資料にはならない。その証拠に、
報告Ⅰ 「昼間点灯走行社会実験の結果報告」 実験結果 2.(1)表では夕方の16時~18時までの時間帯以外は点灯グループの方が事故件数が多く記録されている。
 
報告Ⅱ 「昼間点灯事業者へのアンケート結果報告」の 4.項 「昼間交通事故の発生状況について」に、実践前と実践後で比較すると、事故発生件数は27.7%減少とあるが、どんな根拠でこの数字が出たのだろうか? アンケートに回答したわずか1000台の車が半年間市内をライトをつけて走ったことで、実験をしなかった前年度と差が出るものだろうか。また、実践年度の事故が146件とあるが、点灯実験に当たった1000台の車が200~150件もの何らかの事故を半年間に起こすものだろうか。
結論の根拠となったと見られる、参考の「事故類型別昼間交通事故発生状況比較表」は、以下のような科学的な(統計学的な)間違いを犯している。
表の最後の列に、それぞれの区分について事故の増減率を3桁の%で表し、おまけにその合計の単純平均まで記入している。
このようなことは、警察の交通資料などによく見かけられることであるが、たとえば、昨年4件の事故が今年1件になったから75%効果があったとの願望は分かるが、このようなまれな事象では、件数の増減は偶然の結果であって判断基準にはなりえない、まして、件数の違う各項目について算出した増減率を単純平均した値は何の意味も無い事は少し考えれば分かることである。
また、単独事故も25%減少したことになっているが、昼間ライトをつけて走ることで電柱に衝突する確率が減るだろうか。
 
これは、揚げ足取りのように見えるが、事故減少率が25%と云うのは、1970年代のカナダや北ヨーロッパで発表された値には見られるが、統計学的に吟味された現在の各種の報告では5%程度、あるいはそれ以下と云うのが常識である。
税金を使った行政側の要望としては、良い結果を示す圧力があるかも知れないが、研究調査でポジティブな結果が出なかったから、無駄遣いと言うことにはならない。
 
先のブログに書いたアメリカ政府機関(NHTSA)の例は、医療効果などの判断に用いられるオッズ(odds)手法を用い、統計的手法の信頼度を含めて公表し、読者が独自に判断出来るよう配慮している。残念だが、この報告書の結論は、NHTSAに比べるとまるで、大学院生と、小学生のレポートの違いほどの差を感じざるを得ない。
それでも、先の警察庁の報告書より調査項目に具体性があり、アンケートとして高い社会的な価値があるとおもう。
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