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高齢者運転講習の不合理

2006/03/19
日本では70歳以上の高齢者は運転免許期間が短縮され、その上免許更新時に講習を有料で受けなければならない。このことに関し科学的根拠があるかを調べてみた。もちろん、壮年者に比べ老年者は視力、聴力、反射能力が劣るのは間違いないが、これは生物学的特性であって、高齢者の自動車運転における社会的な障害が統計的に大きいかどうが問題である。
残念ながら調べ方が悪いのか、日本の交通事故に関する統計データを出来るだけ調べたが、このことに役立つ統計データは見つからない。不思議なことにアメリカには日本のデータがあるのはどうしたことだろう。
アメリカのNHTSのグラフで見てみる。国別の若年運転者と、高齢運転者の死亡事故率を見ると日本と韓国以外は、高齢者の事故率は多くなく、むしろ少ないといえる。次に、アメリカだけのデータであるが、年齢別では65-69歳が一番少なく、次に70歳以上となっている、しかも、70歳以上の4歳ごとの区分では80-84歳に向かって増加しているがそれでも35-44歳の壮年者の事故率と変わりない。そのほか、高齢者はスピード違反や飲酒が原因する事故死者が他の年齢層に比べて最も少ないことも統計的に出ている。
このようなことから、日本と韓国だけが自動車先進国のアメリカ・ヨーロッパに比べて高齢者の事故死者が多いのは、他に原因があり、高齢とはかぎらないと見るべきであろう。アメリカで壮年層の事故率が多いのは、生活形態として、長時間長距離を運転するする機会が多く老年者は少ないこともあろうが、ヨーロッパでは日本と本質的には変わらないものと思われる。
とはいえ、どんな経過であっても、法律で高齢者免許更新手続きが決められている以上やむを得ないが、どのような医学的訓練を受け資格を取ってっているのか分からない指導員や、10年以上前のゲームセンターにあったような陳腐な運転シュミレーターに料金を取られるのは正当とは言えない。
ちなみに、免許更新時に自動車学校に払う料金は6000円程度だったと思うが、参考のため、ニューヨークとイギリスで、始めて運転免許を取るときのテスト料金を調べてみた。ニューヨーク州が受験者に義務付けている、指導員5時間の教習の手数料40ドル、イギリスでは実技試験50ポンド程度であり、それら自動車先進国で初めて免許証を取る時の試験料金(一生に1回)と同等の料金を、高齢者から3年毎に取るという発想はどんな根拠から出ているのだろう。
もう少し、論理的根拠を確かめてから県の免許試験課に見解を聞こうと思う。
 
3件のコメント leave one →
  1. 不明 のアバター
    ganzy permalink
    2006/03/20 01:55

    私のように車に乗らない人間にとっては、口を挟みにくい話題なのですが…。
     
    いえることは、高齢運転者が事故を起こしやすいかどうかではなくて、今までの交通事故のパターン…若者がお年寄りを犠牲にする・私は乱暴に「若者がお年寄りをやっつける!」と言っています…が変化してきて:
     
    「お年寄りがお年寄りをやっつける」という今までにないパターンが、新聞・テレビのニュースに顔を覗かせはじめたことです。
     
    「犬が人間を噛んだのではニュースにならないが、人が犬を噛めばニュースになる」と同じことであって、
     
    若者がお年寄りをやっつけても、あたりまえのことであっても、  お年寄りがお年寄りをやっつけるようになると、それが1件であってもひどく目に付くものです。
     
    そんなところから、「高齢者運転講習」の発想が出てきたようにも思っているのです。
     
    ということですから、お説の論理的根拠と「高齢者運転講習」の必要性とは、イスカの嘴の食い違い的なところがあるのは事実です。

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  2. tabo689 のアバター
    tabo689 permalink
    2013/01/11 11:48

    私は75歳になる退職国際経済研究者です。5年前に高齢者運転講習を受け、今年は後期高齢者講習を受けなければ車の運転免許は与えられないことになっています。5年前に講習を受けたときからこの制度による年令差別に強い批判を持っていて、どこかでそれを広く訴えたいと思っていました。この度、本退職地球物理研究者氏のこの「つぶやき」をはじめ本件に関する一連の説得力ある小文を見つけて、大いに賛同し勇気づけられ、このコメントを書く気になった次第です。またこの方の広範多大な「つぶやき」には、原発問題や社会保障の世代間負担問題など、独自性と卓見を含んでいて共鳴出来る論点が数多くあり、敬意を表しつつ我が意を強くしています。
    以下、物理研究者氏ほど実証的ではありませんが、私なりの感想や論点を追加してみます。
    ・この制度の最大の問題は、車の運転資格を得る条件に関して一定の年齢層だけに一律の負担を課している点です。万一70歳以上の年齢層の交通事故率が他の層より高い疑いがあったとしても、それでこの層に属する全ての構成員に対して、安くない料金と半日以上の時間的負担をかけて「講習」を強制するのは、どう考えても年令差別としかいいようがありません。このような扱いは民主的な国家社会においてはとうてい許されるものではないでしょう。他の性、人種、地域などの特定グループに属する人々について、それが出来ないのと同様です。私が、70歳の免許証更新の時、交付事務所の女性担当者に高齢者講習は年令差別だといったら、彼女は「私もそう思う」とそれを明確に認めました。また、他の民主的国家では、そのような例は聞いたことがありませんし、日本のように雇用の際に年令制限をつけることも差別とされています。もっとも、中国の少なくとも特定の地域では、60歳以上は免許証がもらえないと聞いていますが。
    ・そもそもこの講習は、一体なにを目的にしているのか分かりません。高齢者運転の死亡事故が多いとの理由で高齢者ドライバーを排除する親切心からかと思いきや、そうではないそうです。「検査の結果で不合格になることは一切なく・・・、加齢に伴って身体機能の低下が運転にどのような影響を及ぼすのかを知ってもらうことがこの講習の目的・・・」(『知恵袋』sdf0401,2012/5/25)とされています。私の場合も、アメリカの自由度の高い免許取得制度で両足制御を認められたことも影響して、5段階評価の2でしたが、まったく問題ありませんでした。それだけのために、高齢者ドライバーにこの年令差別を強制するのは、ますます理不尽であり、教習所のもうけ口を作ってやったといわれても仕方がないでしょう。免許証更新の時に、それを理解してもらう説明やパンフレットを用意したり、希望者には講習をすればよいことです。
    ・ところで、物理研究者氏が強調しているのは、そもそも高齢者運転の死亡事故が相対的に多いという事実そのものへの疑問です。ここでは多くを繰り返えしませんが、警察や交通当局が指摘しているその事実には、歩行中や同乗中の事故が含まれていたり、事故があったときに高齢者は死亡し易い、といった事情があるとのことです。同氏の指摘の中に、高齢者の安全運転傾向と実績を確認する事実として、警察庁当局の統計データ、損害保険協会の高齢者割引、そして外国先進諸国の統計データなどの「証拠」が、数多く挙げられています。
    ・こうして、やや極論をすれば、高齢化とともに運転中の事故が減り、歩行中の事故が増えるという事実を示す対照的なグラフからして、高齢者ドライバーを排除すると高齢者の交通事故を一層増やす恐れさえある、ということにならないでしょうか。

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  3. spaceglow 市川 敏朗 T.Ichikawa のアバター
    2013/01/11 20:19

    tabo689 様
    コメントありがとうございました。
    私のつたないブログ記事の数々をお読みいただき感激しています。
    読み返してみると恥ずかしいようなものもありますが、まあこれも私の日記と考えて消去したり変更はしていません。
    外国の行政組織や法律を正確に把握することは私には難しいのですが。OECD加盟の欧米主要国では、運転免許をはじめ交通法規・交通信号まですべての交通行政を警察権力が一手に握っている、所謂 「警察国家は」 日本だけと思いますが間違いでしょうか。
    少なくとも運転免許行政は住民サービスの一環であり、パスポート発行事務等と同様警察とは独立したものと考えます。
    OECD/ITF : International Transport Forum の2008年日本の運転免許規制の蘭に 「75歳以上のドライバーには車に特殊なステッカーを表示させ違反すれば4,000円の罰金を取ると」 誇らしげに書いていました。
    これは日本の恥としてほっておけないと思い、無駄とは思いつつも警察庁にメールで知らせました。さすが次の年の報告にはなくなり、国内的にもこれは知らぬ間に消滅したようですが。
    今後とも、御遠慮なく間違いなどのご指摘も含めコメントいただけることを楽しみにしています。
    市川 敏朗

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